MEME KARATSU
2022.1.28
【メンバーインタビュー5】NOP法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 向谷一さん

冬の夜の匂いは好きだなと思った、CO井本です。

特に夜空の下、嗅ぐそれが清々しく感じます。

 

さて、”におい”の話しを最初に持ってきたのには理由があります。

今回のメンバーインタビューを終え、本当の意味で五感を使っていないなと強く感じたからです。

5人目となるメンバー紹介は、NPO法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの向谷一さん。

興味深い活動にとても引き込まれてしまいました。

 

―ミームメンバー向谷一さんに迫る!

向谷さんは現在、NPO法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ(以下、DJS)の理事を務められています。

DJSは、佐賀県のCSO(Civil Society Organizations 市民社会組織の略)誘致の第一号として唐津に拠点を置いています。

向谷さんは、以前は東京にお住まいでしたが、3・11をきっかけに奥様の地元である唐津に移住されてこられました。

東京在住時、前職では経営リーダー育成研修を行う別のNPO法人に所属。その研修プログラム作成の為、DJSの実施する、暗闇のソーシャルエンターテインメント・プログラム「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験したのがきっかけでDJSに関わるように。

 

”人生観が変わる感じがした”

 

 

初めてダイアログ・イン・ザ・ダークを経験したときは、とにかく今までの様々な概念がひっくり返るほどの、非常に大きな衝撃を受けたそうです。

 

 

―暗闇のソーシャルエンターテインメントとは

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、エンターテインメントでありながら、大きな気づきを得られるドイツ発祥の体験型プログラムです。

 

日頃、我々が大きく頼って生きている五感のひとつ、”視覚”。暗闇の中に入ることで、これを完全に断ち、その他の五感をフルに活用し、暗闇の中の様々なレクリエーションや仕掛けを体験していきます。

 

プログラムの参加者は、光が完全にシャットアウトされた広い室内へ8人1グループで入っていきます。突然視覚を奪われ、部屋の中を歩き始めるのですが、足元には落ち葉が敷かれていたり、小川が流れていたり、丸太が突然出現したり、といろんな仕掛けが施されて、不安を感じながらおっかなびっくり進んでいきます。でも、そんな中、誰からとなく自然と声を掛け合っていき、気づくと、入る前は知らない者同士だったのがいつの間にか仲良くなって、一緒に暗闇の中で楽しく遊んでいるという、不思議な体験ができるとの事。

 

 

”人ってあったかいんだ”

 

向谷さんは、とても新鮮な気持ちで、こう感じることができたことに、驚いたそうです。

真っ暗闇の世界に入ると、人の手の頼りがいや声の優しさが心底心地よく、あたたかく感じられるそうです。

ところで、この暗闇の中で、とても大切な役割を果たすのが、「アテンド」と呼ばれる視覚障害者の人たち。彼らは、暗闇の中で、まるで目が見えているかのように、8人の参加者をガイドしてくれます。彼らは、単なる道案内だけではなく、この暗闇の体験を参加者が心から楽しめるように盛り上げてくれるエンターテイナーでもあります。向谷さんは、彼ら「アテンド」の楽しませる力のすごさに、一番感動した、と言います。

そう、あくまでこれはエンターテインメント。世界40か国以上に広がるダイアログで働く障害者は、プロのエンターテイナーとして非常に厳しいトレーニングをパスした人たちのみがアテンドを務めることができます。

だから、ただ楽しかった、を超え、その先の感動を与えられる体験に繋がるのです。

 

 

 

―オンライン授業によってダイバーシティの問題に自然と向き合える

私たちは何か一つでも欠けていると、かわいそうや不便そうなどという思いがどうしても出てきてしまいます。しかしそれは、一方向の勝手な解釈。DJSの活動はそんな固定概念を実に簡単に覆すことのできる取り組みです。しかし現在、コロナの影響により、密になりがちな暗闇の中に入っていくプログラムをこれまでと同じように行う事が困難な状況にあります。

そこでDJSは、オンラインで行えるプログラムを開発。現在、Zoomを使い”感覚マップ”作りをするという取組みを行っています。

参加者は、自宅から好きな場所までの地図を作成。ただし、普通と違うのが、この感覚マップには視覚以外の情報を盛り込むこと。「この道をしばらく歩くとコーヒーショップからコーヒーのにおいがするので、そこを右にまがります」。道中に感じられる音や匂い、脚に当たる感覚など、視覚以外の感覚情報を思い浮かべながら、画面の向こうの視覚障害者に、地図の説明をしていきます。

 

このオンラインプログラムには、大人だけでなく、全国の小中学生たちも、多く参加してくれています。このプログラムでの視覚障害者とのコミュニケーションを通じて子供達は、視覚障害者の人たちは、目が見えないからと言って単に不自由な訳ではない、異なった世界観や感覚を持った人たちなんだ、という、今までの観念が外れていく体験をしていきます。

 

これらのプログラムの醍醐味は、人と人との垣根や違いを取っ払い、実にフラットな関係を築く事がほんの短時間でできてしまうことにあります。五感のどこかが失われていてもいなくても、それはただ文化や感覚の違う世界で生きてる人間同士という多様性。それを受け止め、わけ隔てなく一緒に生きるという認識が自然と生まれてくるところに大きな目的があるそうです。

今後、より多くの学校やフリースクールや学童などの子どもたちにこの体験をしてもらいたい、と語って頂きました。

 

 

 

―曖昧な空間だからこそ、整理ができる

最後に、向谷さんにとってミームがどんな場所か伺いました。

 

”なんとも言えない曖昧な空間が逆に集中を促すんです”

 

カフェのようでカフェではない、当然自宅でもなければオフィスの様な固さもない。そんな例えようのない空気感がミームには感じられるという。不思議とリラックスした状態で没頭することができるそうです。

オンラインでお仕事を頻繁にされている様子からも、ミームの環境は非常にマッチングしているのだと思います。

 

 

 

ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの活動は革新的で大きな影響力をもった活動だと、改めて知ることができました。

まだまだイベント等は難しい状況ですが、彼らの取り組みにこれからも注目していきたいです。

 

※ダイアローグ・ジャパン・ソサエティでは、ふるさと納税を通じた寄付を募集されているようです。ご関心を持たれた方は、以下のURLをご覧ください。

https://www.furusato-tax.jp/gcf/1541