- 2023.4.4
- 【メンバーズインタビュー7】社会福祉士個人事務所ウェルオル 代表 平田結基さん
ミーム唐津がオープンして3年が経ちました。
新型コロナが流行し始めたと同時期で、正直どうなるのか不安な部分もありましたが
徐々に変化の兆しが見えてきたような気がします。
さて、今回は久しぶりにメンバーズインタビューをお届け。
多様化や多様性とやたら耳にする昨今。
本当の意味で多様化に真剣に取り組まれているメンバーをご紹介します。
社会福祉士個人事務所ウェルオル代表の平田結基さん。
セクシャルマイノリティーの方々の相談支援・コーチングや
YouTubeやSNS等でSOGIE(ソジ、またはソジ―)という概念の普及活動にも
力を入れられています。
ご自身もトランスジェンダーであり、現在も治療を継続されているとのこと。
今回はビジネスのことから、戸籍上の性別を変えるまでの
大きな経験についても突っ込んだお話を伺うことができました。
《ミームメンバー平田結基さんに迫る!》
ー平田さんご自身もトランスジェンダーで、現在は戸籍も変更し男性として暮らされていますが
現在の心境はいかがですか?
平田さん(以下、平田):治療は今も継続していますが、始めてから17年以上経過しています。
すっかりおじさんになりました。
日本では性別適合手術をし、生殖機能を無くす手術までしてようやく戸籍を変えることができます。
特に胸の除去手術をしたときは随分と精神的負担が減りました。
ホルモン治療によって髭が生えたり、筋肉が付きやすかったりと、
目に見えての変化は嬉しかったですね。
ー治療を始めるにあたり、親元から離れ上京しそこからのスタートでしたね。
そこに至るまで大変な経験をされたのではないでしょうか?
平田:特に自分を認める作業が一番大変でした。
私の場合、幼少期の頃から違和感をずっと感じていて・・。
小学生の頃に女の子を好きになったことで、レズビアンなのかと悩みました。
さらに、成長と共に体が女性的になっていく事に嫌悪感と憤りを持ち始め・・・。
女性が好きだとクラスメイトにばれ『気持ち悪い』と言われた事や、中学時代には先生に
「なぜ男性を好きにならないのか?」と諭されたことも。
将来の夢やライフプランを考える授業が苦手で・・
というのも、女性として自分が社会に出ることが全くイメージできなかったんです。
今ほど性別違和という言葉が浸透していない時代、自分でも訳が分からず常に不安な気持ちで
いっぱいでした。
高校生の頃にようやく『性同一性障害』(現在は性別不合、性別違和と表現)
という言葉を知った時は衝撃で、”これだ!!”って飛び上がりましたね。
ー名前が付くと突然気持ちの整理度合がぐんとあがりますよね。それは以前お話しした時に
意見が合致しましたことがありました。
そういう意味では現在取り組まれている”SOGIE”の普及活動も、
名前が無くて困惑している方を助けたり
多様化する社会を理解するのに必要なことですね。
平田:SOGIEの概念は身体との性別とは全く分けた考え方になります。
好きになる性別(他人への恋愛的興味)がなかったり
自分を表す性別が無かったりする場合もあります。
男性・女性の間や他にいくつものセクシャリティーが存在し、
自分もそのたくさんある中のひとつに属しているということを認識することで、
何か特別というわけでもなく、社会にはいろんな人が存在すると
身近に感じられるツールでもあります。
最近では研修プログラムにSOGIEを取り入れるところも増加しているようで、
需要が高まっているのを感じます。ですので、これからもSNSやYouTubeを通じて
発信し続けたいです。
▼YouTubeチャンネル
『SOGIのお作法チャンネル』 https://youtube.com/@sogi5116
ーさて、平田さんはコロナを機に唐津にUターンされたということですが、
唐津で事業を始めた大きな理由は何でしょうか?
平田:一番大きな理由は両親が新型コロナに感染したことがきっかけです。
二人が元気なうちに地元に関わっておきたいという気持ちが膨らみました。
福祉の仕事に携わっていたことから、多様性について考えることも多く、
自身のいろんな経験から、今度は支える側になりたいと思い地元である唐津で始めました。
ー唐津に帰ってくるということは、周囲にカミングアウトすることになると思うのですが
その時の心境と周りの反応はどうだったのでしょうか?
平田:それはそれは不安で仕方なかったです。1人暮らしと違って逃げ場がないですし、
家族に何か弊害があるんじゃないかと不安でした。
ところが、そんな事は杞憂で、地域の方からは
「自分の人生だけん好きに生きたらよか」と応援もしてもらえました。
ー意外と受け入れてもらえたと言う事は、唐津は寛容なところがあるのでしょうか。
しかしながら唐津は多様性に関して、現在どのような課題があると感じていますか?
平田:正直以前は多様性が見えにくいと感じていました。
しかし、地域活動などでは多世代交流もありますし、制服も多様化しているので
時代が変わってきているのを感じます。
多様性、多様性って特別な事のように言われますが、もっとフランクに日頃から考える機会が
増えたらと思います。同性婚制度についてもそうですが、それを求める方々が声を上げ続けた
結果、ようやく世間が動こうとしています。一過性のニュースのように取り上げられますが、
それで果たしていいのだろうかと。
どんな言葉でもいい、世代間や環境の差異を越えた対話が盛んになっていくことで
自然と存在する違いを受け入れ、認め合うことができたら素敵だと思います。
ー現在、ご自身の経験を活かし今度は逆にサポートする立場へとなられました。
具体的にはどのような活動をされていますか?
平田:主に周りに相談出来ない方々のお話をきいたり、それこそ混乱した気持ちを整理するために
お話を聞くというのが主な内容です。また、この先、どんな生き方がしたいか一緒に考えたりなどの
継続的な相談も行っています。もちろん、何か申請事や話し合いの場へ行くのにどうしても一人では
難しい場合は同行したりすることも可能です。
ただ、活動を始め気が付いたのですが、実は悩んでない人もいる、と言う事がわかりました。
私自身が悩んできたので、当然のように悩んでいる人ばかりと思ってましたが、
実はそういった先入観を持っていたのは自分自身だったという事に逆に気が付かされました。
ー立場が変わってこれからもいろんな発見がありそうですね。
相談支援の他に現在進行中のことがあるそうですが、
平田:常設の福祉コンセプトカフェを計画中です。
一見普通のカフェ…ですが様々な人が集まり、交流の中で人との違いを当たり前に認め合える様な、そしてゆっくりくつろげる時間を提供できる場所にしたいです。
また、不動産賃貸業もやっており、こちらは同性カップルへの貸し出しも行っています。
同性カップルへの部屋の貸出を嫌がる大家さんも多いと聞きますので・・・
また、将来的には唐津でレインボーパレードができたらいいなと思っています。
ー実現できたら、唐津にもう一つ話題の祭りができますね!是非、実現させて欲しいです!
では最後に、平田さんにとってMEME KARATSUはどんな場所でしょうか?
平田:人と繋がれる場所という認識なのですが、しっくりくる言葉はゲームでいう所の
『最初の村』でしょうか。
RPGとかにあるまず立ち寄る場所。人々から情報収集したり、新しい発想をもらったり。
実際にUターンして初めてかかわった唐津の場所でもあるので特にそう感じます。
相談者の悩みや辛さを分かち合い少しでも軽減できた時や、将来について一緒に考えていく中で
前向きな言葉が聞かれたときはとてもやりがいを感じると笑顔で話して頂きました。
平田さんの活動は、非常に興味深く特に地方ではタブー視されるような所がありました。
しかしながら、時代と変化、情報の流通のは速さにより大きな変化が訪れています。
ここ唐津ではこの様な活動をされているのは彼だけ。
そんな、平田さんの大きな勇気にはとても感銘を受けました。
これからも活動を陰ながら支えていきます!